他人事ではない、就職氷河期世代の高齢化と生活保護の課題

2040年問題という言葉を聞いたことはありますか。これは、団塊ジュニア世代が高齢者となり、日本の人口構造が大きく変化することで引き起こされる社会的な課題の総称です。この問題の中心にいるのが、現在40代から50代前半に差し掛かっている「就職氷河期世代」に他なりません。バブル崩壊後の厳しい経済状況下で社会に出た彼らの多くが、不安定な雇用の影響で十分な収入や貯蓄を得られないまま、高齢期を迎えようとしています。これは単なる個人の問題ではなく、社会保障制度全体を揺るがしかねない、私たち全員に関わる深刻な課題なのです。本事務所も関心を持っています。

就職氷河期世代が直面する最大の懸念は、老後の生活困窮です。非正規雇用で働き続けた結果、厚生年金への加入期間が短く、将来受け取る年金額が著しく低くなる可能性があります。シミュレーションによっては、国民年金だけでは月々の生活が立ち行かず、生活保護の受給額を下回るケースも指摘されています。実際に、「このままでは生活保護に頼るしかない」という当事者の悲痛な声も少なくありません。すでに生活保護受給者の半数以上が高齢者世帯という現実があり、今後、人口規模の大きい就職氷河期世代が高齢者となることで、生活保護の申請者が爆発的に増加する未来が予測されているのです。この事態は、国の財政に数十兆円規模の追加負担を強いるとも言われ、社会保障制度の持続可能性そのものが問われています。

こうした事態を前に、政府も対策に乗り出しています。これまで行われてきた就労支援に加え、近年ではより高齢期を見据えた支援策が打ち出されるようになりました。例えば、安定した住まいの確保を支援する取り組みや、社会参加を促すためのプログラム、家計に関する相談支援など、多角的なアプローチが進められています。しかし、問題の根は深く、これらの支援策だけでは十分とは言えません。就職氷河期世代が最後のセーフティネットとして生活保護に頼らざるを得なくなった時、その制度が彼らの生活を真に支えるものでなければ意味がないのです。劣悪な環境の無料低額宿泊所が選択肢とならざるを得ない現状など、生活保護制度そのものにも改善すべき課題は山積しています。一人ひとりの尊厳が守られ、安心して暮らせる環境を保障するために、生活保護の質的な向上も同時に議論されるべき重要な論点です。

まとめ

・就職氷河期世代は、不安定な雇用の影響で高齢期に生活困窮に陥るリスクが高いです。

・この問題は2040年問題の中核であり、社会保障制度全体の持続可能性に関わります。

・政府は就労支援や生活支援を進めていますが、最後の砦である生活保護制度の待遇改善も不可欠な課題です。

就職氷河期世代の問題は、過去の経済政策の歪みが現代に表出したものです。しかし、これを「自己責任」で片付けてしまう社会に未来はありません。彼らが直面する課題を社会全体で共有し、一人ひとりに寄り添った支援策と、誰もが安心して頼れる強固なセーフティネットを構築していくこと。それが、すべての世代が希望を持てる社会への第一歩となるはずです。


オフィス群馬東洋

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